「体内の弱い部分を補う」のは漢方の得意分野。ドラッグストアで気軽に買えるおすすめ漢方薬に加え、漢方の世界では定番の材料を加えたポカポカ飲み物レシピを東洋医学のプロたちに教わった。AERA2021年1月18日号の記事を紹介する。
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長引くウィズコロナ生活の影響で、罹患せずとも体調、メンタル面などの健康状態がよろしくない人も多い。そんな中、ひそかに売り上げを伸ばしていたものがある。
「一般の方がドラッグストアなどで買える市販の漢方薬は、2020年4月から10月にかけて2ケタ以上伸長しています」
と語るのは、漢方薬国内最大手のツムラで市販の漢方薬を扱うヘルスケア部の辻河勇介さん(45)。学会で発表されSNSなどでも話題になった「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」の売上高は2倍以上になった。胃腸の働きを整え、食欲不振や倦怠感の回復に効果があることから、コロナ対策として購入した人が増えたようだ。
パンダマークを掲げた日本中医薬研究会所属の漢方薬局・薬店向けに漢方製剤を販売しているイスクラ産業の陳志清(ちんしせい)副社長(58)も、売れている漢方薬について教えてくれた。
「19年の同時期に比べて、20年に弊社の漢方薬で販売数が顕著に上がっているのは、気を補う『衛益顆粒(えいえきかりゅう)』や『麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』、丹参(たんじん)など血行をよくする生薬から構成された漢方薬の『冠元顆粒(かんげんかりゅう)』などです。冠元顆粒は高血圧や頭痛などに使われます」
陳さんは、免疫力を整えるという意味で、キノコ類の健康食品も注目されていると付け加えた。たとえばシベリアの白樺に寄生するキノコ「チャーガ」には腫瘍やアレルギー反応を抑制したり、免疫機能を調節したりする薬理作用の報告があるという。
不調を抱える人をカウンセリングし、オーダーメイド漢方薬を処方する漢方薬局でも、新規来訪者が増えている。東京・日比谷の帝国ホテルプラザ内にある薬石花房幸福薬局代表の幸井(こうい)俊高さん(60)は、「免疫力を高めたいという目的で新規に来院される方は前年比で5割程度増えた」という。