そこで、ロックダウンと同時に、事業者の2019年の売り上げを上限(金額上限なし)として、無担保無保証無利子の融資を行う。手続きは、財務データを持っている税務署、顧問税理士、取引先金融機関いずれを使っても良い。手数料は国が負担する。返済は、ロックダウンや休業・時短などの要請が完全に終了してから1年後以降に迎える決算申告時期までは猶予。決算期に、売り上げ、経費などを申告し、実際に支払った経費(賃金、家賃、仕入れなど)と一定の利益(基準年の何割かに限定)分は一括して融資から給付金に切り替えて返済不要とする。残額は、その後の経済情勢を踏まえて、長期の低利融資とすればよい。融資と給付が一つの措置の中に組み込まれるので「ハイブリッド」であり、家賃、賃金、売り上げなどへの支援が一つの措置でできるから「ワンストップ」、さらに一律の上限額がなく事業規模に応じた支援ができるから「ノンリミット」である。
できない理由を挙げるのは簡単だが、私の官僚経験から言えば可能だ。その知恵を出すのが官僚の仕事。今こそ菅総理は、その「強権」で官僚を動かし、このような支援策を実現させてほしい。
※週刊朝日 2021年1月29日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など