「菅首相のメッセージが国民に届いていない。政府として『一社も倒産させない、一人も失業させない』という方針を掲げ、米国のように財政出動を拡大し、あらゆる支援策を打つべきです」
こうした中、解散時期をめぐる駆け引きが始まっている。当初、最短の日程とみられていたのは衆院北海道2区と参院長野選挙区の補選が予定される4月25日。しかし、支持率急落の中、自民は北海道2区で鶏卵疑惑を受け辞職した吉川貴盛元農林水産相の後任候補擁立を断念するなど体制を整えられず、緊急事態宣言の解除時期も見えない。このため永田町では「4月解散は無理」との見方が支配的だ。
そこで有力視されるのが6月下旬から7月。同時期に都議選もあり「衆・都ダブル選」説がささやかれる。だが、水面下ではある“密約”が結ばれていたという。自民都連関係者は言う。
「当初、都議選は6月27日の予定だったが、与党議員の一部が7月4日にズラそうとしている。この日付だと国会の首相指名選挙が五輪開会式のある7月23日直前となり、ダブル選挙は難しくなる。事実上、菅首相の解散権を封じられるのです」
なぜ、ダブル選挙を回避する必要があるのか。
「都議選を重視する公明党としてはダブル選の負担は大きすぎるので回避したい。そのため、都議選で候補者を擁立しない選挙区では自民候補を支援するという条件で自民側と密かに合意した。自民としては公明に都民ファーストの会の支援に回られて大敗した17年都議選の二の舞いは避けたいため、両者の思惑は一致したと聞いています」(前出の自民都連関係者)
小池百合子氏は、すでに蚊帳の外だという。支持率低下で与党からも動きを封じられ、伝家の宝刀である「解散権」を行使できず、秋の総裁選挙での「再選」は遠のくばかりだ(本誌 西岡千史/今西憲之)
※週刊朝日2021年2月5日号より抜粋