作家・室井佑月氏は、菅総理の「支持率が上がりそうもない」という状況について疑問を呈する。
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内閣支持率が下がって、自民党内で「菅おろし」という言葉がちらほら囁(ささや)かれ出している、というニュースをたびたび耳にする。自民党は菅氏を頭として、衆議院議員の任期満了となる秋までに必ずある総選挙は戦えない、ってことらしい。
4月25日投開票の衆参両院2補選は、一つは衆院北海道2区。賄賂を受け取ったとされる吉川貴盛元農水相が議員辞職をしたため欠員が出たわけだけど、ここは理由が理由だから、自民党は勝てないと踏んで候補の擁立を見送ったらしい。
もう一つは、参院長野選挙区で、立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長がコロナでお亡くなりになったため、欠員が出た形だ。こちらは羽田さんの弟さんが野党統一候補として出馬するらしく、そういうのは「弔い戦」ともいわれ、やはり与党の勝ち目は薄いらしい。
で、菅総理は、4月の補欠選挙後に、辞任に追い込まれるのじゃないかという話が出てくるわけである。
話にはつづきがあって、支持率が上がりそうな要素もないからだとか。
このくらいのことは、政局話がさほど好きでもないあたしでも知っている。でもだからこそ、このことに対し、ものすごい疑問を感じている。
支持率が上がりそうもないというのは、国民が不安に感じている新型コロナウイルスへの対策がうまくいっているとはいえないからだ。うまくいかないどころか、「Go To キャンペーン」を決行し、ウイルスの封じ込め対策の真逆に動いた。そして、その反省もないまま、大々的な方向転換もせず、ただオロオロしているのが菅政権だ。菅総理は、あたしたちに語りかける言葉も持っていない。
菅総理のコロナ対策、頼みの綱であったワクチンは、「2月から医療従事者。その後、一般へ」といっていたのが、「一般の接種は5月の下旬から」となり、「6月下旬」となり、最近では「年内までに」となった。