

昨年デビュー10周年を迎えた。パフォーマーとして、役者として活躍を続ける。公開中の映画について、30代となった自身の変化について語った。AERA 2021年2月8日号に掲載された記事を紹介する。
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行成薫の同名小説を映画化した「名も無き世界のエンドロール」が公開中だ。主演の岩田剛典(31)は、幼なじみのマコト(新田真剣佑)のために裏社会に潜り込む主人公・キダを演じている。穏やかだが、感情を表に出さない役柄だ。裏社会の交渉屋としてときに冷酷な表情を見せるキャラクターは、いままでにない挑戦だった。
岩田剛典(以下、岩田):キダはある出来事で自分のなかの何かが崩れ、壊れてしまった人物だと思うんです。そこから新たな人生が始まったけれど、目的を見つけられずに彷徨っていた。そんなときにマコトと再会して、マコトの夢に協力する。それがキダの人生のモチベーションになっていたのかなと。感情の振り幅の小さいキダをどう表現するのか、佐藤(祐市)監督やまっけん(新田)と話し合いながら人物を作っていきました。
——幼なじみのヨッチ(山田杏奈)を交えた3人の絆が物語の軸だ。劇中で中学時代のいじめについて語るヨッチの「怖いのは自分の存在が消されること」というセリフに共感したという。
岩田:核心をついているなと。人って承認欲求を満たしたい生き物だから、やっぱり認められたい。でも、現実にはどんな人も事件も世間は3日で忘れますからね。だからこそ僕も人の心に残る仕事がしたい。自分の仕事が、どこかで誰かにとっての、青春や思い出として輝き続けてくれたらいいな、と思うんです。
——ラスト20分で世界が変わるサスペンスフルな展開には、どうにもならない社会の格差や理不尽にもがく若者の怒りや哀しみも投影されている。