国立がん研究センターの調査でも、糖尿病になると、その後にすい臓がん、肝臓がんを併発するリスクは2倍になり、がん全体でもがんの発症を2割増やすことが報告されている。

「糖質は体に必要な栄養素ですから極端に減らす必要はありませんが、糖質に偏った食生活は問題です。その比率が高くなり過ぎた食生活を見直し、『適度な糖質制限』を意識することが大切です」(袴田医師)

 最後に飲酒。総務省の家計調査によると、家庭の酒類の支出は「巣ごもり需要」で増加しており、2020年は公表されているすべての月で前年同月比を上回っている。

 飲酒もがんのリスク要因だ。「時々飲む」人を1とした場合、「1日に3合以上飲む」人は、がんのリスクが1.6倍になるという調査がある。東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一さんもこう話す。

「飲酒は食道がん、咽頭がん、肝臓がん、大腸がんなどのリスクを確実に高め、男性の場合、がんの約9%は飲酒習慣に起因しています。『適度な飲酒は体にいい』という話もありますが、それはせいぜい日本酒なら1合まで。少量でも発がんリスクを高めるという研究もあります」

 生活習慣の悪化によって、ただちにがんが増えることはない。だが、その蓄積は将来の健康に、じわじわと影響を及ぼしている。

「どんなに気を付けてもがんになることはありますが、リスクを減らすことはできます。感染症対策としての巣ごもり生活で、健康を損ねては本末転倒です」(中川さん)

(編集部・小長光哲郎、ライター・谷わこ)

AERA 2021年2月8日号より抜粋

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