実は筆者も出先でのトイレは苦手だ。会社のトイレはなんとか使えるが、自宅まで我慢する心理は重々わかる。おなかが弱かった学生時代、1時間以上かかる電車通学は憂鬱だった。
海外へ旅行や取材に行くときや、国内の長期出張時には、乾電池などで動くハンディータイプの携帯型おしり洗浄器が必須。もはや、iPad並みに重要なモバイルアイテム。中国内陸部への出張を命じられたときは、噂に聞く大陸的オープンなトイレを思い、脂汗が出た。
仮眠が取れるトイレ
同じような悩みを抱える人はどのぐらいいるんだろう。アエラが500人に聞いたアンケートによると、出先で便意をもよおしたときに自宅以外のトイレを「絶対に使わない」と答えた人は2.4%いた。やはりいた、同志よ。「できるだけ使わないようにしている」(13%)を合わせると、やはりいるのだ、外でウンチができない人が。
とはいえ、時代は変わっている。公共のトイレも随分キレイになった。こんな自分でも“できる”トイレがあるのではないか。今回の企画でJR山手線駅構内のトイレを全駅チェックした。デザインされた門構えの有楽町駅や田端駅は、「駅トイレ=汚い」という先入観を吹き飛ばす空間だった。ただ、鶯谷駅や浜松町駅は汚れと狭さに悶絶した。
やはり出先のトイレを使うのが苦手で、「新しい商業施設ができたらまずトイレのチェックをする」と話す都内在住の山本真由さんは、トイレに関心が強い知人とともに『TOKYO TOILET MAP』という本を作った。渋谷や恵比寿などの繁華街で“使える”トイレを地図に落とし込んだ頼もしい一冊だ。
「新しいトイレを探すのは、デートスポットを探すのと似ている。ゆっくりくつろぎたい場所だからこそ、前もって知っておきたいんです」
山本さんは出先のトイレは気にするものの、以前の勤務先のトイレは、自分専用のブランケットを持ち込んで仮眠が取れるほど、心を開いていた。