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 兵庫県庁の貯水槽で排水弁の閉め忘れにより約600万円の水道代が余計にかかり、このうち約300万円を閉め忘れた男性職員が弁償した。県には「職員がかわいそう」という趣旨の批判を含め、さまざまな意見が寄せられているというが、300万円という高額の弁償は妥当なのか。専門家に見解を聞いた。

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 貯水槽の排水弁の閉め忘れが発覚したのは2019年11月。神戸市水道局から、水道代が大幅に上がっているとの指摘を受けたことがきっかけだった。原因を調査したところ、その約1カ月前に、県が委託した業者が貯水槽の定期清掃を行った際、立ち会っていた50代の男性職員が排水弁を閉め忘れてしまったのだという。

 県は男性職員の責任は重いとして、昨年11月に訓告処分にするとともに、職員個人に対して賠償を請求した。

 県によると、請求額は、過去に学校のプールで起きた同様の排水バルブ閉め忘れ事案に関しての裁判例を参考に、ほぼ半額の約300万円と決定。男性職員はすでに支払ったという。

 兵庫県の井戸敏三知事は8日の会見で、「職員のミスで損害を与え、県民におわびしたい」と陳謝した。県は、このトラブルの後、再発防止のため毎月2回の巡回点検を始めたほか、定期清掃時の職員の立ち会いを2人に増員するなどの対策を取っている。

 このニュースが報じられると、県には「職員がかわいそうだ」などさまざまな声が寄せられたという。ネット上でも「職員は全額を賠償するべきだ」「責任は組織にある」「個人事業主のような扱いだ」などと、賛否が飛び交っている。

 果たして、ミスが確実にあったとはいえ、いち職員に対して、300万円を弁償させる判断は妥当なのか。

 企業法務に詳しい弁護士法人「クローバー」代表の村松由紀子弁護士によると、使用者(会社)が被用者(従業員)に賠償請求できる根拠として、1976年の最高裁の判例がもとになっているという。会社は損害を与えた従業員に対して、「相当と認められる限度の金額」の賠償を請求できるという最高裁判断だ。

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「300万円という金額は過大」