水原:あの瞬間に美紀は「この子は自分とは違うところにいるんだ」と突きつけられる。絶対に交わらない世界なんだって。
門脇:でも、私は美紀と華子がつながっていく展開が意外じゃなかった。私自身、性格的に華子に似ているところがあるし、もし付き合っている相手にそういう人がいたとしても、敵対はしないと思う。相手が関係をそのまま続けるならそれはそれでいいかなって。ちょっと抜けているのかもしれない(笑)。
水原:美紀は幸一郎と10年も一緒にいて、家柄的にも彼が一人で決定ができないとわかっていた。だから達観というか、対立するところにもはや自分はいないと思っていたのかな。それに美紀は苦労人で、人の痛みがわかる。だから華子に対してもフラットに対峙できたんだと思う。そこにシスターフッド(女性の連帯)のマインドがある気がする。
岨手由貴子監督は、二人のそれぞれの役へのアプローチはまったく違っていたと話す。
水原:私は監督と「いまの、こういう感じですよね?」とひとつひとつ確認しながら、美紀を作っていった感じかな。
門脇:私は「外側」から作っていくタイプ。イメージを固めるのに衣装もすごく大事だし、アドリブもできない。
水原:麦ちゃん、演技する前にコンタクト外すよね。
門脇:あ、でもね、2カ月くらい前にレーシック手術したの。すごくよく見えるようになった。
水原:そうなの? わざと外しているんだと思ってた。
門脇:昔は見えないほうが五感が働くかな、と思っていたんだけど、でも見えたほうが全然やりやすい! 大河ドラマ(「麒麟がくる」)の撮影でも「あ、長谷川(博己)さんってこんな顔してたんだ」って。いままでぼやっとしてたから、相手の演技からキャッチできるものも出来ていなかったのかもって。
水原:ウケる!(爆笑)
現代を生きる女性のリアルが描かれると同時に、家柄、学歴、性別などの、社会の格差や生きにくさも描かれる。