どんなに仲のよい夫婦であっても悲しいかな、どちらかが先に逝き、どちらかが残される。残された人が前を向いて人生を歩めるよう、生前から伴侶と情報共有し、意思を確認し合う「夫婦じまい」の準備をしておきたいもの。終活のプロらが教えるお金、相続、お墓など、やるべきリストとは?
【いつかくる夫婦じまいのために 伴侶と話しておきたいこと一覧はこちら】
■お金
もし、あなたが伴侶を遺し旅立つ場合、何が一番心配だろうか。
夫婦じまいで押さえておくべきことを専門家と一緒に具体的に考えていきたい。複数の専門家に聞き、「夫婦じまい」のために、パートナーと事前にきちんと話し合っておくべき55のリストを編集部でまとめた。まず、お金から考えていこう。
お金のことは、どちらか一方に任せっきりという家庭は多い。わからない側が遺されたら大変だ。
「ご主人が亡くなった後、金庫の鍵のありかすらわからず苦労された奥様もいます。業者を呼んで何とかなりましたが、意外と多くの夫婦で大事なことが情報共有されていないものです」
こう話すのは、相続に詳しい税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さんだ。管理している側がもしもに備え「預貯金や証券(株)なども含め、わが家の大事なものが、どこに、どのぐらいあるのか」だけでも書いておくべきという。
「それは伴侶のためではありますが、夫婦の資産の棚卸しにもなるのでお勧めです」(板倉さん)
伴侶を失った後、相続の手続きは専門家を入れて何とかクリア。しかしそこから始まるのが「没イチ」ライフだ。やっていけるのか。
ファイナンシャルプランナーで終活アドバイザーの山田静江さんは、危険なのは、「大企業にお勤めで年収や年金が豊かだった夫婦」という。
「例えば会社員だった夫が亡くなった場合、夫がもらっていた基礎年金と厚生年金のうち、基礎年金はなくなり、厚生年金の4分の3が遺族年金として振り込まれます。ざっくりですが夫の年金が19万円、妻の年金が10万円、計29万円の夫婦の場合、夫の死後は約半分になってしまう。夫の潤沢な年金で暮らしていた妻にとっては、不安になるのは当然です」