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愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)を巡る不正署名問題で、県選挙管理委員会は署名が大量に偽造された疑いがあるとして、地方自治法違反の疑いで県警に刑事告発した。不正署名の作業にアルバイトを動員したことなどが明らかになってきたが、今後の捜査で罪に問われるのは誰なのか。専門家に聞いた。
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リコール運動は、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展で展示された作品をめぐり、知事の対応を批判する美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が主導。河村たかし名古屋市長が支援した。
県選管は、提出された署名43万5千人分のうち8割超の約36万2千人分について、同一人物のものと思われる筆跡や、選挙人名簿にない人など、無効の疑いがあると発表。15日、県警に地方自治法違反容疑で刑事告発した。
その後、名古屋市内の広告関連会社の下請け会社が人材紹介会社を通じてアルバイトを雇い、組織的に名簿を書き写させたことが報じられた。佐賀市内の貸し会議室で作業が行われていたという。
高須氏、河村市長、署名活動を行うために高須氏が立ち上げた「愛知100万人リコールの会」は不正署名への関与を否定している。アルバイトの求人を掲載した会社は「関連すると思われる求人が過去に存在していたことが確認できたため、現在、求人を行った事業者様への確認等を含め、さらなる事実確認を行っております」などと公表した。
誰が不正の首謀者なのかや、不正の構図も現時点で明らかではなく、県選管も「被疑者不詳」で刑事告発している。今後、一体、誰が違法行為を行ったと判断され、どの程度の処罰を受ける可能性があるのか。
「弁護士法人クローバー」代表の村松由紀子弁護士によると、地方自治法74条の4で署名の偽造が禁じられており、違反者は「三年以下の懲役、若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」に処せられるという。
村松弁護士は「不正行為の詳細が明らかではないため断定的なことは言えないが」と前置きしたうえで、こう解説する。