ヤマザキマリ:漫画家、随筆家。1967年、東京都生まれ。コロナ禍前まではイタリア在住。著作に『国境のない生き方』など(撮影/写真部・加藤夏子)/池上彰(いけがみ・あきら):ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。著書に『なんのために学ぶのか』『池上彰の世界を知る学校』など(撮影/岸本絢)
ヤマザキマリ:漫画家、随筆家。1967年、東京都生まれ。コロナ禍前まではイタリア在住。著作に『国境のない生き方』など(撮影/写真部・加藤夏子)/池上彰(いけがみ・あきら):ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。著書に『なんのために学ぶのか』『池上彰の世界を知る学校』など(撮影/岸本絢)
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AERA 2021年3月1日号より
AERA 2021年3月1日号より
AERA 2021年3月1日号より
AERA 2021年3月1日号より

 原稿を棒読みで自分の言葉で話せない日本の首相の姿に、落胆や不安を感じた人も多いことだろう。危機的な状況において、リーダーに求められるものは何か。AERA 2021年3月1日号で、池上彰さんとヤマザキマリさんが意見を交わした。

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ヤマザキマリ:日本は明治維新以降、画期的な民主化を進めていきますが、西洋的なスタイルの民主主義は日本の政治に向いていないのかもしれないというのが、今回のコロナ禍において見えた点です。

 昨年の春、各国の首脳が様々な宣言をしましたが、日本の首相の視線はなかなかカメラに向けられない。そもそも日本では人の目をじっと見つめて喋る習慣はないですからね。でもそのせいで、自分の言葉で話していない、自らの思いの言語ではないい、という印象を与えてしまっていた。

池上彰:別に西洋の民主主義じゃなくて日本は日本的な民主主義でいいんですが、あの言語化力のなさは、唖然としましたよね。

ヤマザキ:日本人に適応する民主主義をもっと見極めたらいいのかもしれない。だったら欧米と比べることもしなくなるでしょう。とにかく、日本は、言論力で、弁証法で、民衆を落ちかせるために何かを訴えるっていうのがあまり向いていないというのがわかった気がしています。

 ちなみにヨーロッパだと子どもの頃から、学校でも人前に立って、自分の考えを発言をするということが教育として根底にありますし、家庭の中でも人前で話すことに慣らされていくけど、日本ではそういう教育はさほど重要視されていませんよね。弁証法がそれほど必要ではない国民性だということを慮れば比べるのはナンセンスなんですが。

■真っ先に国民への激励

池上:今年に入り、菅首相が1カ月間の緊急事態宣言を発令しました。そこで記者から「1カ月で駄目だったらどうするんですか」という質問が出ましたが、菅首相は「仮定の質問にはお答えできません」って言ったでしょう。これ衝撃ですよね。

ヤマザキ:そうですね。

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