「おしゃべりカトウかんぼうちょーかん」。この中では若い。スラスラとソフトなおしゃべり。ただ、基本薄ら笑いなところがちょっと気になる。頭が大きくて不安定で腰がグラつく。「なにかご質問は?(笑顔)」と聞かれたので、思いつくままに質問すると「その件に関してはコメントする立場ではないと了解している」だと。「じゃあ、どういう立場?」と聞くと「今日はまだご飯食べてないので」「ご飯のあとはどうしますか?」と矢継ぎ早にご飯の話ばかりしはじめた。「ご飯論法」ってそういうことじゃないだろ。明らかにプログラムミス。正直、一番タチが悪いぞ。
「おしゃべりヨシローくん」。『信頼と実績』と謳い文句にあるが、疲れた表情。「どうしたの?」と聞くと「最近いろいろありまして……」とざっくばらんに話してくれた。娘にも孫にも怒られて辞任。「一生懸命尽くしてきたのに、何故ここまできてこんな憂き目に遭わねばならないのか!」からの、あれやこれやの政界裏話。面白い。めちゃくちゃ面白い! ダントツでヨシローくんじゃないか。「ヨシローは人たらし」という噂を聞いてはいたが。説明書を見ると『必ず一人でお楽しみください』とある。なるほど。無難かも。今までお疲れ様でした、と人形を抱きしめた……。
……そんな夢を見た。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中
※週刊朝日 2021年3月5日号