■ひろゆきとの番組に出演 議論にならず激しい後悔

 榎森はラジオをしょっちゅう聴く。リスペクトしている、評論家の荻上チキ(41)がパーソナリティを務めるラジオ番組は榎森には必聴だという。荻上が沖縄を訪ねたときに榎森に取材したこともあるが、荻上は榎森の「笑い」をこう評価する。

「“相手を単純化して笑う”のではなく、“無視されがちな声を叫ぶ”という姿勢は、冷笑に疲れていた人にも受け入れられやすかったと思います。わかりやすくすることは、時には事実を矮小(わいしょう)化・単純化したり、俗情に便乗したりということがどうしても起きます。榎森さんの動画や言葉回しにも、そうした課題はつきまといます。しかし榎森さんの特徴は、『無敵=無反省』として振る舞うのではなく、『反省』をし続けられること。自らを神格化せず、応答しようとする姿勢は、意固地にならず考えてくれる、という期待がある」

 昨年10月、実業家・タレントのひろゆきが、「ABEMA Prime」の番組で、普天間基地の辺野古移設反対を訴える沖縄の抗議活動の現場を訪れた。たまたま誰もいなかったことから、座り込みをした日にちを掲げる看板の前でピースサインをする写真を撮り、「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」とツイートしたことが、ネットや新聞で大炎上した。ひろゆきは、「『座り込み』 その場に座り込んで動かないこと」などともツイート。沖縄県知事も「敬意を感じられない。ちょっと残念だ」とコメントをするほどの「事件」となり、社会問題化する。

 榎森も即座に対応した。座り込みという言葉の定義付けに意味はない。人生を削って何年も抗議している人たちに、お前らの人生全部かけた抗議じゃないと抗議って認めないよってジャッジができるあなたはそんなに偉いんですか……など激しい怒りを表明した。

「辺野古の問題は、沖縄の問題じゃなくて日本の問題だよという言い方がしっくりくるし、マジョリティー・マイノリティーという構造がある問題って、マジョリティー側から変わっていこうとするしか変わる方法がない。自分は本土出身のマジョリティー側という属性を理解することが大前提。その上で、(沖縄の)苦しさをわかろうとしていくのが人間として当然やと思う。ひろゆきさんは、(沖縄の)苦しみを知ろうとしない、わかろうとしない、理解しようとしない、聞こうとしないで、嘲笑という暴力性のあるコミュニケーションをとった」

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