

社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第21回。今回は、最近頻発している地震で気になる災害時の保障や支援についてです。
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2月13日深夜に発生した福島県沖を震源とする地震に驚いた人もとても多いと思います。最大震度6強を観測したこの地震では、福島県、宮城県を中心に多数の被災者を出しました。2月22日の内閣府発表では被害を受けた建物は福島県内だけでも2800棟以上とされています。
■忘れたころにやってくる地震の怖さ
この地震で2011年の東日本大震災を思い出した人もいると思います。死者・行方不明者が1万8000人を超え、全半壊したり一部損壊したりした建物は、100万戸以上を数えます。
今回の地震でも、気象庁はまだ余震への注意を促しており、福島県沖での地震の活発化の懸念も示しています。
さらに今年は、東日本を中心に台風並みの風雪による重大な被害も発生しています。日本は常に、地震など自然災害への備えを怠ってはいけない国です。今回のこの連載では、自然災害についての社会保障や支援制度について基本的なことを説明したいと思います。
■「阪神・淡路大震災」以後、大きく変わった災害支援体制
地震や集中豪雨などの自然災害による被害を受けたときには、被災者の生活再建への取り組みを支援するための各種制度が用意されています。
日本では災害直後に食料や仮設住宅を提供したり、災害により人的被害を受けた場合などに弔慰金や見舞金を支給したりするための法律は古くからありました。しかし平成になっても、被災後に生活基盤を失った人の生活全般を支える制度は、ありませんでした。
これは「自然災害による被害は自助努力で解消すべき」といった政府の方針があったためのようですが、1995年の「阪神・淡路大震災」による甚大な被害を受けて大きく方針が転換されました。1998年に「被災者生活再建支援法」が成立し、これにより住宅再建など被災者の生活について、支援がされるようになっています。