男優には冷たいが、わたし、女優の名はすぐ憶えるし、忘れない。出演した映画も。
『007/危機一発』のダニエラ・ビアンキ。『グロリア』のジーナ・ローランズ。『トップガン』のケリー・マクギリス。『恋人たちの予感』のメグ・ライアン。『トータル・リコール』のシャロン・ストーン。『トゥルー・ロマンス』のパトリシア・アークエット。『リービング・ラスベガス』のエリザベス・シュー。『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソン。『初恋のきた道』のチャン・ツィイー。『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン。『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス。『ザ・シューター/極大射程』のケイト・マーラ。『キャビン』のクリステン・コノリー。最近だと『ウインド・リバー』のエリザベス・オルセン──。
ほかにも魅力的な女優はいっぱいいるが、外国映画限定で書いてみた。それはないやろ、という意見も多々あると思う。
よめはんがよくいう。「肝腎(かんじん)なことは忘れるのに、どうでもいいことは憶えてるんやね」「映画はちゃんと観る。小説はまじめに書く。麻雀は勝つように打つ。そういう脳に進化したんや」「麻雀、負けるよね。このごろ」「老兵は死なず。ただ消え去るのみや」「誰がいうたん?」「ブルース・ウィリス……」
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する
※週刊朝日 2021年3月12日号