「治療により、耳鳴りの症状を改善することは可能と考えられます。耳鳴りそのものをなくすのは難しいことが多いのですが、気になる度合いを下げ、つらさを軽減することはできるでしょう」
治療については、前出の「耳鳴診療ガイドライン」により、「教育的カウンセリング」と、補聴器療法を含む「音響療法」が推奨されている。
教育的カウンセリングとは、患者に耳鳴りの原因や耳鳴りが起こるしくみ、悪化の要因や治療法などを説明する方法。
「耳鳴りを正しく理解することで不安が解消され、耳鳴りが気にならなくなる人、症状が改善する人もいます」(同)
難聴のある人には、補聴器の装用や、専用の機器を使用して小さな音を流す音響療法も有用とされている。どちらも、耳に音を入れることで耳鳴りが気にならなくなることが期待できる。
「まずは医師の診察を受け、難聴の程度や治療法の有無を調べることが必要です。また耳鳴りの治療では十分なカウンセリングも重要です。受診した病院で治療できない場合は、専門医のいる病院を紹介してもらうといいでしょう」(同)
(ライター・出村真理子)
※週刊朝日 2021年3月12日号