オフには心ゆくまでファッションを楽しみ、オンではバレーボール、ビーチバレーに集中。ビーチバレーU21世界選手権に出場し身長190cmのチームに勝利したことで自信をつけた鈴木はそれを機にビーチバレー1本に絞ることを決意。大学ビーチバレーの名門・産業能率大へ進学した。
大学に入学して、すぐにU21アジア選手権で史上初の銀メダルを獲得。すでに国際大会の経験を持つ鈴木は、大学生という立場を飛び越えて『日本一』の栄冠を手にするため、ある決心をした。
それまで化粧品や洋服代につぎ込んできたアルバイト代を、(部活動とは別の)個人のコーチング費用や体のケアへお金をまわすことにした。
自己管理に身銭を切るようになった鈴木は、大学4年ながらも2015年にはプロや社会人選手を倒し、念願のツアー日本一の座を手にした。
大学卒業後は、JOCの就職支援制度『アスナビ』を通じてクロス・ヘッド株式会社に入社。現在はプロ同様、競技に集中できる選手生活を送っている。ビーチバレーが生業となった今、大好きなファッションコーディネイトは、砂の上で身にまとう戦闘服に集約されている。
着用しているチームの水着は、自分たちで色やロゴの配色などデザインを考えたものだ。鈴木は流行にも敏感で、サングラスも常に最新モデルを使用。時計やスポーツアクセサリーも肌身離さないアイテムだと語る。
そんな鈴木が目指す選手像は、女子選手の規格に収まらないプレースタイルだ。
「世界のトッププレーヤーに勝ちたいのであれば、私たちは男子並みのプレーをしないと追いつけないし、勝てないと思っています」
オフシーズンのトレーニングの1つに体育館でのバレーボール練習がある。鈴木は男子ネットでスパイク練習を行う。女子のネットは224cm、男子は243cm(バレーおよびビーチバレーも同じ高さ)。およそ20cmほどの差をものともせず、鈴木はボールを床に叩きつける。
「高校時代に挑戦したときは全く打てなかったんですけどね。今は決してネットが高いと思わないし、普通の感覚でスパイクを打てます。ビーチでプレーするようになってから、普段もそのくらいジャンプしているんだな、と気づくことができました」