同センターの北一成取締役教育研究所長はこう見る。
「緊急事態宣言が出されて以来、私立中高はオンライン対応が早かった。私立に対する信頼が高まったのではないでしょうか」
近年の中高一貫校人気は、難関大学への高い合格実績にも表れている。全国の中高一貫校のうち、2020年入試における旧7帝大(東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州)などの合格者数の上位校を、私立と公立にわけてまとめた。生徒の人数も数字に影響するので、卒業生数も付記。また20年入試なので、これらの実績はビフォー・コロナであることも注意してほしい。
学費が6年間で700万円を超えるのも珍しくない私立に対し、半額かそれ以下でおさまる公立中高一貫の人気が高まっているが、合格実績に関しては歴史ある私立に分があるのがわかる。私立では開成や灘、東海、西大和学園など旧7帝大に150人以上の合格者を出す中高一貫校も目に留まる。公立では千葉・県立が東京大、西京や洛北が京都大に強く、九州大に強い宮崎西の健闘も光る。
校長先生も一緒に運針
旧7帝大だけでなく早慶MARCHにもめっぽう強い豊島岡女子学園は、昨年の緊急事態宣言が出てすぐ生徒や保護者に動画の配信を告知し、4月13日からは月曜日から土曜日まで、毎日4時間から6時間の配信を行った。同校は生徒全員が毎朝5分間、運針をすることで有名だ。
「運針は授業に向けて集中するための大切なステップで、本校になくてはならないもの。そこで本校卒業生の先生に実際に運針をしてもらい、動画を配信しました。竹鼻志乃校長も卒業生で一緒に運針してもらいました」(岸本行生入試広報部長)
動画にはチャイムものせて、より学校の雰囲気を醸し出した。経験のない新入生には、家庭科の教員が運針の道具とやり方の動画を配信した。
同校は初回の入試に、1千人の受験生が集まる。池袋に立地するキャンパスは手狭で、受験生をいかにスムーズにさばくかが課題だったが、開始時間を3段階に分散し時間差を設けることで「密」を緩和した。体調不良の受験生のため看護師を待機させたが、幸い対応することはなかったという。
(教育ライター・柿崎明子)
※AERA 2021年3月8日号より抜粋