佐藤:その一方で、コロナ禍でその学校の「オンライン対応力」が注目されるようになり、今後、各学校は「1人1台パソコン持ち帰らせてます」とか「すべての教室にWi-Fi完備していて電子黒板入れてます」みたいな、「ICTの充実ぶり」をこぞって出してくると思いますが、そこが充実していることとその学校の教育の質の高さって、実は必ずしもイコールではない、ということはふまえておく必要があります。会社でも、全社員リモートでOKにしてますというのと、その会社の業績が伸びてるかどうかって、またぜんぜん別の話ですよね。
──学校選びはどんなポイントに注意すればいいのですか。
小川:何よりも「あなたのお子さんはどんな子どもですか」がすべてのスタートになります。まずは「学習の能力」。テストの点が取れるか取れないかというよりも、「言われたらやるではなく、自分から勉強できる状態にあるかどうか」。それによってまず、「相性のいい学校」が変わってくる。
言われたらやる子の場合、「言ってくれる学校」の方がいい。細かく小テストを入れますとか、質問解消のために居残りでフォローを入れますとか。「お世話しますよアピール」をしている学校の方が、おそらく相性がいい。逆に自分で学ぶことが身についている子なら、大きな方針だけありつつ、「あとは自由にします。質問に来たら答えるけど、こちらからあまりテストはしませんよ」というタイプの学校がいいと思います。
各学校で校風、校是、カリキュラムの説明をされたときに、うちの子が「ここで生きやすいか」「居心地が良さそうか」。偏差値だけで決めるのではなく、そういう観点で選んでいけば、入学してからそう変なことにはならないはずです。
■学校との「掛け合わせ」
──そのポイントで言うと、公立と私立、それぞれ合うタイプとは?
小川:一概には言えませんが、自分の世界を大事にしたいタイプは、公立はしんどいかもしれないですね。自由でいたいタイプの子でもある程度、自己主張ができる子であれば公立でやっていけますが、一人自分の世界に浸りたい子は、先生の主観による内申と絶対評価で子どもを画一的に見る傾向にあり、「大人から見てちょうど都合のいい“良い子”」にならないといけない部分のある公立は、ちょっと生きづらいかもしれません。