「両方で44%以上にするということは、再エネが増えなければ自動的に原発を増やさないといけません。経産省は表向きには可能な限り原発依存度を下げると言いながら、再エネ拡大を妨害する大手電力の行為を放置しているため、事業者は原発比率を高めるしかなくなる。こうした汚い手を使いながら外堀を埋め、気が付いたら原発の新増設が必要となる形を作っているのです」(古賀氏)

 この冬にLNG(液化天然ガス)の不足から新電力の電気料金が高騰したことも、産業界が電力の安定供給のために原発を支持する理由になっている。だが、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、これも「真っ赤なウソ」と指摘する。

「大手電力会社が出し惜しみをして、卸電力市場に玉出し(電力放出)をしなかったのが高騰した原因です。そもそも発電した電力の10%しか卸市場に出ないポンコツ卸市場を設計しておきながら、経産省はこの冬は寒かったからLNGの需給逼迫(ひっぱく)が起きたなどと意図的に誤解を与える説明をしている。お粗末です」

 そのうえで、再エネの導入をもっと大胆に進めるべきだと訴える。

「世界のエネルギーの趨勢(すうせい)は太陽光、風力、蓄電池の3本柱と節電意識。すでに再エネは安く安定したエネルギーになっています。経済合理性が低く、リスクの塊である原発にいつまでもこだわれば、日本はますます世界から取り残されることになるでしょう」

週刊朝日  2021年3月19日号