この40年の東大合格者数ランキングで女子校唯一のトップ10入りを果たしているのが中高一貫の桜蔭(東京)だ。どんな校風なのか。OGで東大文学部卒業後は漫画などの登場人物に扮するコスプレイヤーとして活躍する東堂ともさんが語った。
◇
桜蔭に入学して感じたのは意外に自由な学校だということです。定期試験で公表されるのは平均点だけで、順位表といったものはなかったです。
言われなくても努力する人が多く、競争する雰囲気もありませんでした。良くも悪くも、みんな他人のことは気にしていない感じ。中1から東大専門の予備校に通っている同級生もいましたけど、私は中高時代、塾には行きませんでした。
東大を薦められることもなかったです。高3のときは東大に落ちましたが、先生は「来年どうにかなるっしょ」と実にあっさりした反応でした。
ただ、授業は進度が速かった。次週の分まで理解していることが前提なので、後れを取るまいと必死でした。どの教科も高2で高3までの課程が終わりましたね。
いざ東大に入ると、40人弱のクラスに女子は5~6人。それまで女子だけの環境だったので、どうしたらいいのかわからなくなりました。学校では誰とも話さず、家で一人アニメを見る毎日。大学卒業後にコスプレを始めました。今はグラビアの仕事もしています。
就職活動もしたのですが、やる気のなさを面接で見透かされましたね。点数を取るのが楽しくて東大に入っただけなので、卒業後にやりたいことがなかったんです。
桜蔭に通って良かったのは、「努力癖」がついたこと。ツイッターでは2年半でフォロワーを約7万人増やしました。他の人のを見て、写真の投稿の仕方などを研究したんです。何事も上達させようと取り組む姿勢が身についたのは、桜蔭での中高時代があったからこそだと思っています。
※週刊朝日 2021年3月19日号