栄一は『日本資本主義の父』と言われているが、「『日本資本主義の父』の息子」「『日本資本主義の父』の娘」もたくさんいたし、「『日本資本主義の父』に本妻と同じ屋根の下で囲われていた妾の息子、娘」も存在したのです。

 栄一が書いた『論語と算盤』が売れているそうだ。現代にも通じるビジネス書だって。『論語』って孔子様のアレでしょ。中国初のベストセラー。それに「と算盤」を付けて売っちゃうなんて商売上手。ということは、後追いで『論語と算盤』の下にまた「と〇〇」をくっ付ければ、バカ売れ間違いなし。『論語と算盤と男と女』『論語と算盤とYシャツと私』『論語と算盤と俺とお前と大五郎』とかね。

 よくわからないから大河ドラマ『青天を衝け』を見てみましたが、どこに渋沢いるの? あれ? 平泉成出てるけど渋沢栄一役じゃない!? P.S.平泉成と河原崎長一郎はけっこう共演してる。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

週刊朝日  2021年3月19日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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