「八方ふさがりになると、何かをせざるをえないんですよ。状況を思い悩んでも何も変わらない。先のことを考えると不安ばかり増長されるから、今何ができるかを考える。『じゃあ、本を読もう』『ご飯食べよう』と。とにかく瞬時瞬時のことを考えて、そうするうちに少しずつ長いスパンで考えられるようになって、『来週』とか『来月』となる。そうして考えたことの一つがMBA(経営学修士号)取得でした。(謹慎で)仕事がないってことは時間がある。じゃあまとめて勉強してみよう、と。

 私に逆境を乗り越えるパワーがあったわけではありません。私は傷つきやすくて、世間の評判とか人一倍気になる。『そんなの関係ないわ』って言える強さは全然持ってなかったけれど、なんとかなった。そこはスキルなんです。どんなに落ちたときでもこう考えればいいっていうスキルさえ持っていれば、大丈夫。だから、悩んでいる女性たちに『こう考えてみて。そしたらすごく楽になるから』ということを知ってもらいたくて『オンナの元気塾』を始めたんです。ゆくゆくは日本だけでなく、アジア圏の同世代の働く女性が集まる場ができるとおもしろいなって思っています」

 一連のスキャンダル報道では、世間が抱くイメージに苦しんだ。ところが、3度目の復帰後、気持ちに変化が生まれていた。

「当時は、他者が見る『山本モナ』像があって、それが納得できるものでないと、『私はそんな人間ではない』と一生懸命、否定していました。でも結婚して仕事を辞めて、一般人の『中西モナ』になったときに、冷静に考えられたんです。嫌だと思ったところで、世間の『山本モナ』像は、どう間違っても山本モナでないことはない。あれは私、です。そこから逃げてちゃ何も始まらない。この前、テリー伊藤さんに『エロい、ふしだらだって書かれるのは勲章だ』って言ってもらったんです。当時は本当に嫌だったんですけど、今となってはみなさんが評価してくださる私のイメージを全部受け入れられます。だから『エロいよね』って言われても、『ありがとうございます』と今は言えますよ。(笑い)」

週刊朝日 2013年5月17日号

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