福岡県で5歳の男児が餓死した事件は、ママ友による「洗脳」が原因とみられる。後を絶たない同様の事件。誰もが目を付けられ、食い物にされかねない。過去の類似事件などを取り上げた、AERA 2021年3月22日号の記事を紹介する。
【あなたの友人は大丈夫?マインドコントロールを仕掛ける危険人物の特徴はこちら】
* * *
友達だったはずの女に生活を丸ごと乗っ取られ、我が子を餓死させるまで洗脳される──。福岡県篠栗町で起きた5歳児虐待死事件は、にわかに信じがたいほどの苛烈なマインドコントロールが背景にあったとみられている。
■ママ友が豹変し「支配」
同種の事件はこれまでにも度々起こってきたし、今この瞬間も水面下で進行していないとは誰も言い切れない。悲惨な末路をたどるこうした事件は対岸の火事ではなく、誰にでも起こりうる危険性をはらんでいる。
昨年4月、5歳だった碇翔士郎ちゃんは満足な食事を与えられず餓死した。捜査を続けていた福岡県警は今月に入り、母親の碇利恵容疑者(39)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕。さらに翔士郎ちゃんに食事を与えないように指示したとして、知人の赤堀恵美子容疑者(48)を同容疑で逮捕した。
両容疑者は同じ幼稚園に子供を通わせる保護者同士として5年ほど前に知り合った。
地元紙などの報道によると、当初は碇容疑者が赤堀容疑者をママ友グループに誘ったが、次第に赤堀容疑者は碇容疑者に「みんながあんたの悪口を言っている」とグループと疎遠にさせるように仕向け、自分を頼らせることに成功。続いて「あんたの息子から砂を投げつけられた子の親が裁判を起こすと怒っている」などと架空のトラブルをでっち上げては、示談に持ち込むとして金を巻き上げたとされる。
さらに碇容疑者の夫が「浮気をしている」と嘘を信じ込ませて離婚するように仕向け、浮気調査や裁判費用などの名目でも約200万円を詐取するなど、合計で1千万円以上を碇容疑者からだまし取ったとみられ、詐欺罪で起訴されている。
赤堀容疑者は、事件とは無関係のママ友の一人を暴力団関係者に顔が利く「ボス」に仕立て上げ、「お前の夫の浮気調査費用をボスが立て替えている」「ちゃんと食事制限しているかどうかボスが監視カメラで見張っている」といった言葉で恐怖を植え付けながら、碇容疑者への支配を強めていった。