音信不通の期間を20年から「10年程度」にするほか、親族がDVや虐待の加害者だった場合に照会を控えるよう自治体に求めた。さらに、新たに本人が親族に借金をしている場合なども照会不要とした。だが稲葉さんは、今回の通知を「小手先の修正」と批判し、さらなる改善を求める。
「DVなどの加害者への連絡を明確に『照会を控える』としたのは一定の評価ができますが、全体としては微修正。『原則は連絡する』ということは変わっておらず、例外規定を増やしただけでは、根本的な解決にはなっていません。本来、扶養照会そのものをなくすことが一番理想ですが、まずは第1ステップとして、本人の承諾なしに勝手に親族に連絡しないことを求めます。これは、利用者の権利と尊厳を守る意味から重要です」
緊急事態宣言が再延長され、生活困窮者が増えると懸念される。菅義偉首相は「最終的には生活保護」と国会で答弁した。だとしたら、使いやすい「安全網」を本気で検討すべきだ。(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年3月22日号