「公務員や学校の先生で恩恵にあずかる女性がいそうですね」(三宅氏)
厚生年金の月10万円が丸々受け取れるとすると、年間120万円。支払う税金も増えるが、夫婦2人で海外旅行などが楽しめるほどの金額だ。
■60代後半は毎年年金額が上がる
60代後半で会社勤めを続けている人には、全員に朗報がある。「在職定時改定」という新制度だ。
厚生年金は70歳まで加入できる。このため定年後も会社で働いている人は毎月保険料が給料から“天引き”されている。
一方、支給される年金は「節目」にならないと改定されない仕組みだ。
60代前半で特別支給の老齢厚生年金をもらい始めたとしよう。それ以降も保険料は支払うが、その分が支給額に反映されるのは、65歳になって本来の老齢厚生年金に切り替わるときだ。60代後半も同じで、保険料を支払い続けても、その分の反映は退職時か、70歳になって厚生年金を“卒業”するときかまで待たなければならなかった。
それが在職定時改定によって、60代後半は毎年、年金額を改定する仕組みに変わる。直近1年間の加入「成果」がすぐに年金額に反映されるようになるのだ。
厚労省の資料によると、月10万円で1年間働いた場合は年間約7千円年金が増える。月20万円だと同約1万3千円、30万円なら同約2万円の年金が増える。
在職定時改定の基準日は「9月1日」。同省年金局の説明は「来年9月の基準日に70歳未満の人全員に適用され、10月から年金額が改定される」とのことだ。つまり、60代後半で年金をもらいながら会社で働いている人は、来秋には年金額が上がる。
とりわけ、初年度の22年度は“楽しみ”が大きい。現在、65歳までの記録で支給されている年金額について、65歳以降の基準日までの加入分が新たに反映されて、一気に切り替わるからだ。
69歳なら4年分の働きが加わるし、68歳なら3年分が加わる。先ほどの数字を使うと、仮に月20万円で65歳以降、4年間働いた69歳の人がいたとすると、年金額は年間約5万2千円も上がることになる。