来年4月から年金が大きく変わる。長寿化で“長く働く”ことに対応した重要改正が多いが、制度が変わると全員が対象になると思ったら大間違い。「生年月日」で適用されるかどうかが分かれるケースが目立つのだ。勘違いしないための「改正ガイド」をお送りしよう。
【あなたは対象になる? 在職老齢年金、新基準額が適用される対象者はこちら】
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来春以降、全国の年金事務所で、こんなやりとりが増えるかもしれない。
相談者:「年金の『繰り上げ』をしたいのですが……」
年金事務所の職員:「老齢年金は原則65歳から受け取ることができますが、ご本人のご希望で60歳から65歳になるまでの間で、本来より早く受け取ることもできます」
相談者:「わかっています。お願いします」
職員:「受け取る老齢年金は生涯にわたって減額されますが、いいですか」
相談者:「構いません。減額率が変わるのを待っていたんです」
職員:「失礼ですが、今、おいくつですか」
相談者:「61歳です」
職員:「それなら、新しい減額率は適用されませんよ」
相談者:「エッ、なぜ?」
冒頭の「繰り上げ」とは、職員の説明どおり、本来の受給開始より早く年金をもらえる仕組みだ。ただし早くもらう分、年金額は減額される。どうやら、その「減額率」をめぐって相談者は何か勘違いをしているようだ。
その勘違いの中身は後でじっくりご覧いただくとして、年金制度が2022年度から大きく変わる。昨年に法改正された主要施策の施行が「22年4月」に集中しているのだ。
今回の改正の特徴は“長く働く”時代に対応した点にある。しかし、制度が変わったからといって、誰もが対象になると思っていると、それは間違いのもと。「生年月日」によって適用されるかどうか、分かれる制度があるからだ。
■在職老齢年金の基準額を大幅引き上げ
その筆頭に挙げられるのが、「在職老齢年金」だろう。会社で働きながら年金をもらう人の給料と年金を調整する制度。一定額以上の給料をもらうと年金はカットされていくが、60代前半でカットされ始める基準額が変わる。現行の「28万円」から、「47万円」へと大幅に引き上げられるのだ。