それに今は若い人がうつ病やパニック障害であることをさほど抵抗なく言うようになるなど、メンタルヘルスの問題を口にしやすくなっています。社会が変わってきていますよね。


つまり「現代社会を生きる子どもたちが知っておくべきこととして精神疾患の優先度が上がり、学習指導要領に加わった」ということでしょう。

――学校で精神疾患について教えるようになると、どのような効果が期待できるでしょうか。

 20代前半までに約75%が発症するわけですから、社会に出てから教えても間に合いません。その前に、学校教育の中で精神疾患の知識を身につけておけば、10代、20代で発症したとき、自ら兆候に気づくことができます。友だちなど周囲の人の様子がいつもと違う時にも、気づいてあげることができるでしょう。

 子どもたちばかりではありません。教員の意識も変わり、子どもたちの変化や悩みに気づきやすくなります。

 また、精神疾患に対して偏見や誤解を持っている人は多く、症状に気づいていてもなかなか精神科を受診しません。学校教育によって「精神疾患は特別な病気ではない」という認識が浸透すれば、精神科を受診する際のハードルが下がり、早期治療につながることが期待できます。早く受診してさえくれればよく治るし、本格的な発症を防げる可能性もあります。

 今はインターネットなどを通して手軽に情報が入る時代になっていますが、「生きていくうえでたいせつなこと」は公平に知らせる必要があります。その一つが精神保健、精神疾患であり、学校という公教育を通じてみんなが等しく学ぶことに大きな意味があるのです。

(文・谷わこ)

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