雑誌の専属モデルとして芸能界デビューし、現在は俳優、そして映画監督としても活動する池田エライザさんがAERAに登場。現在の活動にかける思いを語った。AERA 2021年3月29日号から。
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「私の才能は、決断する力だと思っています」。
スタッフとはしっかり話し合うが、「何をやる、やらないを決めるのがものすごく速い」。
「決断して実行する」ことを継続してやってきたという。
経営者としても十分やっていける──。話を聞くほど、リーダーとしての条件も兼ね備えているように思えた。
昨年「夏、至るころ」で監督デビューを果たしたのも必然だったのだろう。その後に臨んだ映画「騙し絵の牙」がまもなく公開されるが、映画監督の経験で演技に変化はあったのか。
「ないです。監督は全体を把握して動かす力、俳優は動く力に徹するプロフェッショナル。全く別物です。私は集中し続けたり、向き合い続けたりするお芝居の方が難しかった。改めて難しいお仕事をしていたんだと気づきました」
かつては役が決まるとオタクのように役作りに没頭した。「技術がない分、役に向き合う時間が誠意だと思っていた」。だが、今は、多くのすてきな大人に出会い経験を重ねて、「“バランサー”であることが、時代に合っている」と感じている。
「役作りに熱中しすぎると楽しめない自分も出てくる。それが今はトゥーマッチのような気がして。集中しつつも、すぐにオフにできるスイッチのようなものを少しずつ身につけるようにしています」
とはいえ、「仕事は100%興味がある」から、どんな仕事でも準備を尽くす。
「巨匠と言われるような、私の周りにいる人たちが全員そうだから。みなさんが目をキラキラさせてお仕事をしているので、私もすごく影響されています」
そんなすてきな人たちとの出会いは、人生のかけがえのない宝物だ。
「寝る前にその日あった良いことや、良い言葉をいっぱい探します。子どもの頃からその時間を欠かしたことがない。寝ちゃっても跳び起きて言葉をスマホにメモすることも。『今日もめっちゃいい日だった、今日もめっちゃ良い人に会った。神様ありがとう、おやすみ』って自然と感謝しています」
(フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2021年3月29日号