「稽古が5時半に終わると、買い物すらせず直帰です!」
女優の天海祐希さん(45)がそう本誌に語ったのは、舞台「おのれナポレオン」が始まる直前、3月28日のことだった。取材に立ち会った本誌記者は、「生活のリズムを整え、ストイックに舞台にかける意気込みが伝わってきた」と振り返る。普段からストレッチで体のケアを怠らず、健康には人一倍、気を使う──そんな彼女が突然、病に倒れた。
天海さんは5月6日の舞台終了後、極度な体のだるさを訴え、マネジャーと都内の病院へ。診断は「軽度の心筋梗塞で、1週間から10日の安静治療が必要」とされ、そのまま入院した。
心筋梗塞とは、冠動脈が詰まって血液(酸素)が流れない状態になり、心臓の筋肉の一部が壊死する病気。70歳前後の高齢者に多く、女性より男性のほうがかかりやすい。それだけに、心疾患手術で日本一の症例数を誇る榊原記念病院の友池仁暢院長も「天海さんのケースは非常にまれ」と驚く。
「40代では男性が圧倒的に多い。女性の場合は閉経後、エストロゲンの減少とともに動脈硬化が進むことで増え始めますが、天海さんはその年齢に差し掛かりつつあっても微妙ですね」
友池院長によると、若年の場合、男女共通の危険因子として真っ先に疑われるのが「家族性高コレステロール血症」。生まれつき血液中のLDL(悪玉)コレステロールが異常に増えてしまう病気だ。
「日本人では500人に1人の割合と言われています。その場合、女性でも20~30代で心筋梗塞を起こすことがある」
その他の危険因子として、喫煙、高血圧、糖尿病、家族に心筋梗塞を患った人がいる場合を挙げる。
※AERA 2013年5月20日号