「独立した子どもから、『長年我慢したんだから、もうお父さんから離れてもいいよ』と言われて、モラハラ被害に気づくシニア女性もいます」(同)
モラハラ被害者は相手から否定され続けてきたために、自己肯定感が低い人が多いという。
「家事ができていないと責められても、ちゃんとやっている自負があれば言い返せますが、自分が悪いと思ってしまう。責めるほうも自己肯定感が低いから、相手を人格否定して貶めることで優位に立とうとします」(同)
緒方さんのもとには、モラハラを改善したいという夫婦も相談に訪れる。
「結婚生活は長くても、お互いのことやどんな夫婦になりたいかという共通認識が希薄。まずは時間をかけてでも、どんな夫婦関係になりたいかを具体的に考え、実現のためにお互いの改善点を明確にすることをおすすめしています」(同)
自分がモラハラ被害者の場合、生活が苦しくなっても一人で自由に暮らしたいか、家庭内別居と割り切って一緒に暮らすか、改善すべく歩み寄るか。その選択は自分次第だ。
「長年モラハラを受けていると、自分を大事にする気持ちが欠落しがちに。どの道を選ぶにせよ、自分に正直でいることこそが大切なのです」(同)
(ライター・吉川明子)
※週刊朝日 2021年4月2日号