また、市長給与を「年800万円」に下げている河村氏に対抗し、横井氏は「年544万円」まで引き下げると主張している。

 自民党が先週末に実施した世論調査の数字では、僅差だが、河村氏が横井氏にリードされていた。一方、マスコミの世論調査では河村氏が横井氏をリードも数ポイント差で大接戦になっている。

 そこへ田中氏の出馬を匂わせる発言で、河村氏は過去にない、厳しい選挙戦を強いられている。横井氏支援の自民党の名古屋市議はこう情勢を分析する。

「田中氏が出馬すれば、河村氏との仲間割れということでしょう。そんなイメージがより浸透して批判票につながる。こちらは有利になるんじゃないか」

 また「反河村」を合言葉に、自民党を離党した横井氏を公明党、立憲民主党、国民民主党が「推薦」。そして共産党も「自主支援」と打ち出した。

 河村か、反河村か、どちらかを迫るものだ。立憲民主党の市議はこう話す。

「自民党と一緒になって疑問と言われるが、まず河村市政を終わらせることが一番。そのためには、モンスター、河村氏を倒すこと。やむを得ない」

 河村氏の率いる地域政党「減税日本」の市議はこう危機感を訴える。

「横井氏の政策、2万円の商品券はコロナ禍もあってありがたいとの声をよく聞く。わかりやすい、市民目線の市政が売り物だった、河村氏のお株を奪われた格好。そこに、リコール署名の疑惑が重なってしまい、よりキツイ状況。こんな厳しい市長選はかつてなかった。田中氏は県議時代、大村氏の会派にいた。出馬を匂わせた発言については、河村氏と対立する大村氏の影もあるのではないか…」

 そこで本誌は河村氏を直撃。不満げにこう主張した。

「まず、田中氏はリコール署名の偽造署名の真相解明や集めたお金の会計報告をきちんとやるべきですよ。このままでは、ワシや高須先生、リコール署名を手伝っていただいた人、みんな疑われてしまう。それなのに田中氏が市長選挙に出馬なんて、理解ができません」

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選挙戦はいつも苦難