「そのような世間体や属性など、周囲の人や親や親戚から『どのように見られるか』をすごく気にする人、そういう状況になることがとても苦になる人は、FIREには向かないかもしれないですね。FIREするにあたっての適性として、無視できないところだと思います」
■「退屈なら働けばいい」
桶井道(おけいどん)さんは、FIRE後に精神的につらくなった場合の対処法について「また働けばいいだけで、それは失敗でもなんでもありません」と話す。
「FIREの中で大切なのは『FI(経済的な自立)』の部分。ある程度の資産とそこから生まれる不労所得への安心感が、会社を辞めることへの不安感を超えているならFIREすればいいし、逆に会社を辞めるほど働くことが苦にならないなら、会社を辞めないでもまったく問題ない。定年退職を待つだけでなく、自分で引退時期を決めてもいいと思います」
FIREは人生の選択肢、という意見はちーさんも同じだ。
「30~40代のまだ若い人が全くやることもなく、趣味だけで人生が成り立つかというと私は疑問です。FIREは目的ではなく、自分のやりたいことをかなえる手段。会社員という労働効率の悪い仕事を辞めて、フリーで自分の好きな仕事を好きな時間にできる環境が理想だと思います」
(ジャーナリスト・安住拓哉、編集部・小長光哲郎)
※AERA 2021年4月5日号より抜粋