マトリ幹部は筆者の取材に対し、
「マトリとして当然認識はしているが、残念ながら実態の把握までには至っていない。健康被害が出て社会問題化するようなら動かざるを得ないが、現状では大麻事案と覚醒剤の大型密輸事件で人員を割けない」
と非公式だが会話のなかで明らかにした。
米国で流行している違法薬物は日本でもそのうち出回る可能性は高い。
現在、日本で若者を中心に、大麻がものすごい勢いで広がっている。
20年の犯罪白書によると、少年の薬物非行のなかで大麻の検挙人数は14年から6年連続で増加。驚くことに20年は前年比41%増という数字になっている。
大麻が、さらに依存性の高い薬物への入り口になりやすい「ゲートウェードラッグ」になっている。
違法薬物のなかで、頂点と言われているのはヘロインで、別名”悪魔の女王“と呼ばれている。それより強い薬物とされるフェンタニルが“デザイナーズドラッグ”という軽い呼び名で扱われており、その犯罪性や依存性、危険性などの深刻さが隠されてしまいがちだ。
米国で大麻がゲートウェードラッグだったのは過去の話で、ここ数年は鎮痛剤になっている。そのうち日本でも米国と同じように、鎮静剤が大麻にとってかわる日がくるのかもしれない。そうならないことを願いたい。
(花田庚彦)
※週刊朝日オンライン限定記事