西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、楽天の早川隆久投手に太鼓判を押す。
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まだプロ野球は開幕したばかりで、すべてを断じることはできないが、戦力や経験が乏しいチームほど、勝って自信をつけなければいけない。その意味で、セ・リーグのDeNAとパ・リーグのロッテが開幕から5試合で勝ち星なしと苦しいスタートとなった。
長いペナントレースを戦う上で、優勝候補といわれるチームは、多少負けが込んでも、どうやったら勝てるかの術を知っている選手が多く、立て直すのもうまい。戦力的に充実しているセの巨人、パのソフトバンク、楽天あたりが首位を走ると他球団は追いかけるのが難しくなる。
優勝経験の豊富なチームは戦いながら強み、弱みを見極め、弱点をつぶしていく。そして優勝争いが佳境となる秋口には大きな歯車が機能するようになる。
ローテーションが一回りして、今年のスタートとして目を見張ったのが楽天のドラフト1位、早川隆久投手である。初登板初先発となった3月28日の日本ハム戦、6回4安打無失点で8三振を奪って初勝利を挙げた。
下半身と上半身のバランスがよく、制球力がある。そして腕が遅れて出てくるので、打者はタイミングをとりにくい。派手さはないが、制球に自信があるから、2度の満塁のピンチも慌てている様子は見られなかった。試合後に早川は「1点や2点はいいと思って、腕を振った」と話したが、自分に自信がなければ、そういったメンタリティーも生まれてこない。
直球は140~145キロでも、打者はファウルとなっていた。この形ならストライクゾーンで勝負していけるし、ストライク先行で球数も減らせる。四球で自滅する雰囲気が一切ないのは、昨年の新人王、広島・森下と同じだ。100球を投げても、次の試合に向けて大きなダメージを負うような力投型でもない。故障なく20試合前後先発できれば、10勝できるだけの力がある。