二回目に確変が起きました。竹山君の「浮気」が週刊現代に出てしまったのです。しかも全裸で寝てる写真まで。そのことが雑誌に出る数日前に、竹山君から電話がありました。こんなことになって申し訳ない……的な。だけど、僕はすぐに言いました「放送禁止でやる最高のネタが出来たじゃないですか!」と。そこから竹山君は編集部に逆取材。竹山君と一夜を過ごしたあの方は狙ってやっていたのか?あのことを編集部に売ることによっていくら入るのか?などなど、スクープされた人がスクープした人を取材し、その一部始終を舞台で話すということをやり、かなり話題になりました。そこから「カンニング竹山のライブは、おもしろいことをやっているらしい」と話題になり始めました。

 そこから毎年、竹山君の一年で起きたこと、ムカついたことなどを喋りつつ、その年のテーマになることをやったりして。薬物について、障碍者について、テレビでは出来ないことを、ただおもしろおかしく取り上げるのではなく、一種のジャーナリズムを持ちながら取材し、それを笑いで包んで舞台で話す。5年目には、相方・中島君が病気になり、亡くなっていくまでの中で起きた「おもしろい話」を舞台でしました。

 その翌年。「一日一人、誰かに一万円を配る」という企画をやりました。もちろん自腹です。一年で365万円。お金っていきなりあげようとすると拒まれたりするんですよね。それをすることによりお金って何?とか相手の意外な人間性が見えてきたりする。

 3年前は週刊文春をテーマにしたり。一昨年は「一年間、毎日誰かと竹山君だけが全裸になり写真を撮影する」という企画に挑み最後はお掃除屋さんになったカラテカ入江との話を。昨年は配信だけになってしまったが、ビートたけしさんのフライデー襲撃事件の話をガダルカナル・タカさんに聞き、その一部始終を話し、最後にはアンジャッシュ渡部君へのメッセージを。

 と、色々やってきましたが、竹山君はいつ何時も覚悟を決めてやっています。

 そして、このライブを始めて数年後に僕に言いました「一年に一回、芸人としてあのライブをやっていることで、お笑いじゃない仕事も自信もってやれるようになりました」と。

 芸人さんの仕事の一つとして「コメンテーター」という仕事がある。竹山君も、そのコメンテーターという仕事をやっているが、竹山君は特別に僕はぶっとい背骨を持っているなと思っている。

 だからこそ、自分が発言したことに対して間違っている部分は認めるけども、それ以外は簡単には謝らない。

 それでいいし、それがいい。そうであってほしい。この13年間、彼はかなりの覚悟を持って突き進んできたからだ。

 この東京都との問題、なんだかまだ入り口な気がしているのは僕だけでしょうか?? なんか気持ち悪さが残っている。

 思い切って、竹山君に東京都のプロモーションを頼むくらいの「覚悟」があってもいいと思うんですが……。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。バブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」の原作を担当し、毎週金曜に自身のインスタグラムで公開中。主演:今田耕司×作・演出:鈴木おさむのタッグで送る舞台シリーズ第7弾『てれびのおばけ』が4月14日(水)~4月18日(日) 下北沢・本多劇場で上演。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。

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