世界選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦(写真/朝日新聞社)
世界選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦(写真/朝日新聞社)
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 フィギュア世界選手権で、銅メダルとなった羽生結弦。ショート、そしてフリーの演技を終えた後に、ミックスゾーンなどで語った言葉を漏れなく届ける。

*  *  *

【ショート後】

――昨年の世界選手権がキャンセルされて、今回、ストックホルムで、やっと世界選手権の場に立ったことを、どう思っていらっしゃいますか。

 昨年、キャンセルが決まったのが、本当に突然のことだったので、ある程度覚悟はしていたのですけれども、何か、急に目標を失ったような感覚がありました。
 ただ、こういう状況の中でも、選手、スタッフ、いろんな方々が尽力をしてくださって、こうやって試合ができて、僕たちの努力を発揮させていただける場所を設置してくれたことを、とてもうれしく思っています。

――ショートのプログラムについて。

 今シーズンも、実はピアノの曲にしようかなっていうふうに思っていたんですけれども、こういう時代になっているからこそ、何か皆さんに楽しんでいただけるものをというふうに思って、振付師のジェフリー・バトルさんと相談して、こういうものになりました。

 実際に、本当は会場で、一体となって、手拍子だったり、歓声だったり、そういったものが聞こえると、もっともっとよいプログラムになるかもしれないんですけれども、ただ、インターネットだったりテレビだったり、どんなところからでも、見ている方々の歓声だったり、気持ちを受け取りながら、滑っているつもりです。

 僕はすごいピアノの表現をすることは、すごく好きだし、そのメロディを体で表現するっていうことは、すごく得意でもあるとは思うんですけれども、ただ、こういうロックな曲っていうのは、本当に心の底から、自分の鼓動だったり、呼吸だったり、そういったものを表現できるので、これはこれですごく楽しいなっていうふうに思ってやっています。

――一人で練習することについて。

 やっぱり一人で練習することは大変だったんですけれども、逆に、一人で練習しているからこそ、曲かけの自由がきいていたり、または自分自身でいろんなことを考えて、本来フィギュアスケートでは考えられてなかったトレーニングの理論だったり、そうですね、あとは器械体操の理論だったり、陸上の理論だったり、いろんなものを取り入れて、自分のスケートだったり、ジャンプだったり、またはスタミナのトレーニングだったり、そういったものにつなげられたので、ある意味よかったかなというふうにも思っています。

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