疑問4 補聴器はどんなお店で買っても同じ?

 補聴器は装用したらすぐに聞こえるものではなく、言語聴覚士の調整と必要なリハビリを経て、徐々に聞こえるようになっていくものです。購入する前には必ず医療機関を受診し、補聴器を装用すべきかどうか、事前に医師の診察を受ける必要があります。

 診察後に、補聴器相談医のいる補聴器外来や、医療機関の薦める認定補聴器技能者のいる販売店に行きましょう。そこで補聴器の「3カ月間の貸し出し」と「補聴器を装用して聴力検査」を受けます。

 これら両方を実施するお店であれば優良店といえます。医師の受診なく、通販や眼鏡店で安易に補聴器を購入しないよう注意しましょう。

疑問5 難聴になると、聞き取りにくい言葉がある?

「聞き取りにくいことば」は、難聴のタイプにもよりますが、加齢性難聴では一般に、高音域から聞こえにくくなります。ことばの中でもとくに高音域に位置する「サ行」は、早い段階で聞き取りにくさを感じるでしょう。

 日本語は母音を主体とした言語であるため、他言語に比べて聞き取れることばも比較的多く、万が一聞き取れなかった場合でもことばを推測しやすいと言われています。

 それに対して、子音が言語に多用される英語圏では、ことばの聞き取りにくさを感じ始める年齢が日本よりも早いとされています。そのため、補聴器の装用率も日本では約1割にとどまるのに対し、欧米では3~4割にものぼるとされています。

 中国語もまた、高音域が聞こえにくくなると抑揚がとりにくくなり、ことばとして聞き取りにくくなるとされています。そのため、中国語圏の人たちもまた、ことばの聞き取りにくさを感じ始める年齢は日本人より早いとされています。

【監修】
新田清一(しんでん・せいいち)医師
済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科主任診療科長/聴覚センター長
鈴木大介(すずき・だいすけ)さん
済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科言語聴覚士

(文/石川美香子)
※『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』から

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