ただ、残念ながら発表した文書は、平成の天皇が追求した皇室のあり方とは異なるものになっていました。小室さん側が2019年1月に公表した文書について、「金銭問題に関することは『解決済みである』と主張していると誤解されている方がいらっしゃいますが、それは誤解です」と記していましたが、自分は悪くない、誤解したり文書を読み誤ったりした報道や国民のほうに責任があるというように読めます。文面からは、名誉を傷つけられたので法的手段に訴えると言い出すような雰囲気さえ感じます。確かに報道が過熱した面もあり、小室さんの心情は理解できるところはありますが、それでも皇室に関わる可能性がある人間の振舞いとしては、違和感を覚えます。
宮内庁の西村泰彦長官が定例記者会見で、今回の小室さんの文書について「非常に丁寧に説明されている印象」、「小室さん側と元婚約者との間の話し合いの経緯についても理解ができた」などと話しました。私は、宮内庁と小室さん側が事前にすり合わせをしたようにも感じました。宮内庁側としては、これで「問題は解決した」とする可能性はゼロではありません。
眞子さまと小室圭さんが結婚を強行したら、象徴天皇制や皇室に対する国民の信頼が失われかねません。眞子さまの結婚一時金として1億5千万円が支払われると見られていますが、このままでは「税金を無駄に使っている」という批判が出てくるでしょう。眞子さまだけではなく、皇室全体への批判も出てくるかもしれません。
そうならないためには、小室さんは今からでも記者会見をして、国民の前で説明するべきでしょう。説明が遅れたことに対して、細かい理屈を並べて自らの正当性を主張するのではなく、「自分としてはこういう思いもあって、遅れてしまった」などとお詫びの気持ちを率直に伝えてはどうでしょうか。「借金の認識について判断がつきかねます」とハッキリいったらどうでしょう。
文書の最後は「おわりに」として「この文書をお読みいただくことによって、これまでの事情を理解してくださる方が1人でもいらっしゃいましたら幸いです」と小室さんの希望を記していますが、肝心の本文からはその気持ちが伝わりませんし、理解できる内容でもありません。国民に向けてもう一度メッセージを出すべきと思います。
(まとめ/AERAdot.編集部・吉崎洋夫)