小室圭さん(c)朝日新聞社
小室圭さん(c)朝日新聞社

 秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さまとの婚約が内定している小室圭さん8日、文書を発表した。母親と元婚約者の男性との間にあるとされる「金銭トラブル」について説明。計28ページの長い文書だが、これをどのように読み解けばいいのか。象徴天皇制に詳しい河西秀哉名古屋大准教授(歴史学)に聞いた。

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 読んだ印象は、丁寧に説明されたとは思いますが、正直、読むのに一苦労しました。全部読む人はほとんどいないのではないでしょうか。読みにくくなっている理由は、過程を説明しようとして細かく書くことで、わかりにくくなっているからでしょう。

 また、自分の主張を繰り返すことに固執している印象です。国民に向けてわかりやすく説明しようとしている文書とは到底思えません。

 では、誰に向けて書いたかというと、秋篠宮さまではないでしょうか。秋篠宮さまは昨年の誕生日で、「多くの人が納得し喜んでくれる状況の前提として、今までもあった問題をクリア(するために)相応の対応をする必要がある」「やはりそれが見える形になるというのは必要なことではないか」と述べていました。そういった意味では、結婚に向けて「やることはやった」と示す、アリバイづくりの印象があります。

 本来であれば、文書だけで終わらせるのではなく、会見を開いて国民に説明するという機会を設けたほうがよかったと思います。ただコロナ禍ですので、オンラインでも構いませんが、記者からの質問を受けて、それに答えるべきでした。このままでは国民の理解は得られないでしょう。

 今回の文書公表でみせた小室さんの姿勢は、平成の天皇が追求した皇室のあり方、皇室のあるべき振舞いとまったく違うものになってしまっています。平成の天皇は積極的に国民の前に姿を現して、その取り組みを国民に理解してもらい、認めてもらおうと努めていました。小室さんが記者会見を開き、最後まで質問に答える姿勢をみせれば、平成の天皇が追い求めた皇室の姿と通じるところがあったでしょう。そういう姿勢を示せば、世間の受け止めも良くなったのではないでしょうか。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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