NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公で「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一。渋沢家五代目で渋沢健氏が衝撃を受けたご先祖様の言葉の数々とは?
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60年前の1961年に、坂本九の「上を向いて歩こう」がヒット曲となりました。まだ日本は終戦からの途上国であり、物質的にはそれほど豊かではなかったかもしれません。ただ、「今日よりも、よい明日」への期待感があった時代です。
そして、現在の2021年、物質的には豊かになっている先進国日本は、どのような「明日」を描いているのか。その答えを求めているように、NHK大河ドラマ「青天を衝け」が放送されています。
ただドラマが描いている渋沢栄一は現在の人間ではありません。1840年生~1931年没、今から100年~150年前ぐらい前に活躍した人物です。60年という「還暦」を経て、なぜ渋沢栄一が呼び戻されているのでしょうか。
青天を衝くためには、上を向いて歩く必要がある。
もしかすると、このような必然性が潜在的な意識として日本社会で広まっているのかもしれません。
高祖父(祖父の祖父)にあたる渋沢栄一は、およそ500の会社および600の社会的事業の設立に関与し、「日本資本主義の父」といわれます。その人物が提唱したのが「論語と算盤」。道徳と経済が合致すべきという考えです。
「資本主義の父」かもしれませんが、渋沢栄一は数多くの会社や膨大な不動産など資産を子孫に残すことに関心がなかったと。そう思って自分自身は育ちました。しかし、今から20年前に自分が40歳になったときに、実は曾々爺様は素晴らしい財産を残してくれていたことに気づきました。
なぜなら、この財産は減ることない。相続税もかかりません。何故なら、その財産は「言葉」だからです。
渋沢栄一は、自身の想いが詰まった言葉をたくさん残しています。異なる時代に発された言葉でありますが、今の時代の文脈に表現すれば、充分に活きてくる。