写真はイメージです(Getty Images)
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 コロナ禍では感染の心配から「むやみに受診しないほうがいいかも」と躊躇する、いわゆる“受診控え”が増えているようです。しかし、子どもはよく発熱します。そのたびに親は不安になるものですが、そもそも緊急受診の目安を知っていれば必要以上に慌てることもないでしょう。『ママとパパの赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典』(朝日新聞出版)の監修者である兵庫県立丹波医療センター小児科医長の岡本光宏先生に聞きました。

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――子どもが急に発熱した場合、受診の目安となる体温はありますか。

 生後3か月未満で37.5度以上の熱がある時、年齢を問わず41度以上の熱がある時、また、ぐったりしている時、初めてけいれんを起こした時はすぐに受診してください。

――初めてけいれんを起こした時はすぐ受診ということですが、どんなことに気をつければいいでしょうか?

 けいれんには、発熱時に起こる熱性けいれんと、発熱に関係なく起こる憤怒けいれん、胃腸炎関連のけいれん、てんかんがあります。初めてのけいれんは何に起因しているかわからないので、すぐ受診してください。

――発熱ですぐに受診しなくても大丈夫でしょうか?

 子どもが熱を出すと、まず病院へ行かなくてはと思ってしまうでしょう。子どもの熱が39.7度を超えると、保護者の心配が強くなるという報告があります(※1)。

 けれど、熱自体が子どもに悪い影響を与えることはないので必要以上に心配することはありません。

 保護者は高熱が子どもの脳に影響することを心配していますが(※2)、体に悪影響がある体温は42度であり(※1、3)、わきの温度が中心温よりも0.85度低いことを考慮すれば(※4)、41度までは熱自体の影響はないと考えられます。むしろ、熱の高さよりも、熱以外の症状のほうが大切な情報です。

――熱以外の大切な情報というのは?

 いわゆる“くう・ねる・あそぶ”ができているかどうかが大切です。高熱でも睡眠がとれて、水分補給もできるなら、すぐ受診しなくても大丈夫です。

――熱を測るときの注意点はありますか?

 気をつけてほしいのは、耳や体表で測る体温計は不安定だということです(※5)。お子さんが元気そうなときに使うのはいいですが、元気がないときや咳鼻水が強いときは、わきの下で測る体温計を使ってください。

――この時期、咳も気になる症状ですが、どのように判断すればいいでしょうか?

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