

現在、映画「ドリームランド」が全国公開中だ。「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」「スキャンダル」で2度のアカデミー賞ノミネートを果たし、ハリウッドきってのスター女優となったマーゴット・ロビーが脚本に惚れ込み映画化。監督は新鋭ぺイラフィット。
世界恐慌下の1930年代半ば。荒涼としたテキサス州の田舎町に暮らす17歳のユージン(フィン・コール)。刺激的な冒険を空想しながらも、退屈な日常にとらわれていた彼は、ある夜、納屋で大けがを負った女性と出くわす。彼女こそが、地元の銀行を襲撃し、警察から追われている強盗犯アリソン(マーゴット・ロビー)だった。
危険な犯罪者だと知りながらもアリソンに惹かれるユージンは、通報せず彼女を匿うことにする。捜査の包囲網をかわし、自由をつかもうとする女と、希望に満ちた新天地への憧憬を膨らませる少年。やがてアリソンは、自分が失ったイノセンスをユージンの中に見いだして、罪悪感に心をかき乱されていく──。
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★
1930年代テキサスの女ギャングと言えば相棒クライドのいないボニーの「俺たちに明日はない」を考える。とはいえ、これは家を出たい少年の話だが、危険が匂う美女マーゴット・ロビーの悪女ぶりに目が行くのは仕方ない?
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
少年が胸に秘める不在の実父への想いと逃亡者の自由への渇望が絡み合う。少年の妹が語り手になり、砂嵐が吹き荒れる土地と男女の運命が巧みに結びつけられていく。男女の関係を多面的にとらえる新鋭監督の視点が光る。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
マーゴット・ロビーを見る度にその才能に惚れます。静かに燃え上がる切ない愛の物語だけど、経験浅く誰かに惚れると、こうも人が変わってしまうなんて心が痛くなる。でも私は語り手の優しい兄妹愛にグッと来て涙した。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
新たな「俺たちに明日はない」とも言える内容で、脚本に惚れ込んでプロデュースもしているマーゴット・ロビーが一際輝いている。だが、新味には幾分乏しい。新進気鋭の監督のヴィジュアルセンスが頼もしく今後に期待。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2021年4月23日号