4月4日に亡くなった脚本家の橋田壽賀子さんを悼む声はやまない。25日に5時間半にわたって放送された「おしん」総集編と出演者座談会(NHK総合)も大きな反響を呼んだ。橋田さんは、週刊朝日に何度もインタビューや対談で登場し、原稿を書いてくださった。2018年1月19日号の新春特大号では、「新しい地図」として再スタートをきったばかりの香取慎吾さんと対談。「笑っていいとも!」(フジテレビ)での二人の出会いから、三谷幸喜さんについて、香取さんの未来について、大いに語り合った。在りし日の橋田さんを偲んで再掲する。
【貴重】泉ピン子さんと橋田壽賀子さん「おしん」の現場で2ショット
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橋田 お元気ですか。忙しいでしょう。少し眠そうな顔をしているけど大丈夫?
香取 昨日(12月15日)、「おじゃMAP!!」(フジテレビ系)の2017年最後の収録で稲垣吾郎ちゃんにゲストで来てもらったんです。番組収録が終わってからもいろいろな人が来てパーティーをやりました。夜中の2時半まで酒を浴びるほど飲んでしまって(笑)。でも大丈夫です。
橋田 今、最高にお幸せなんじゃないですか。
香取 いや、ぼくはずーっと幸せだった気がします。
橋田 この間、「おじゃMAP!!」の収録で熱海にいらした時も感じたんですが、香取さんは明るくなった。何も重圧がないという気がしました。
香取 それはあるかもしれません。
橋田 あなたももう40歳なんだから、誰からも縛られちゃダメよ。
香取 そう、もう40歳になったんです。
橋田 あなたの個性を生かす仕事をしなきゃ。これから香取さんの第二の人生なんだから。私もその年頃に映画会社をクビになって何をしていいかわからない時がありました。
香取 そうなんですか。
橋田 あなたの場合は引きとめられても出ていった、私はクビですからシチュエーションはずいぶん違います。それでもそれが転機になってテレビの世界に入っていった。当時は皇太子さま(現在の天皇陛下)のご成婚パレードがあって、テレビが茶の間に入り始めた。これからはテレビの時代だと思った。転機とは何かジャンプする時期です。
香取 年齢は気にせずにやってきたんですけど、最近この状況になって改めて40歳になったと感じます。40歳で新しいことを始めようとしている自分を見つめ直しています。
橋田 私はいちばんいいタイミングだと思います。若い未完成な時ではなく、円熟の時だもの。香取さんなら何でもできる。絵を描いたっていいし、プロデューサーだって俳優だっていい。今までの人生を洗い直して、自分がやりたいことをやっていけばいい。今日、このことだけは言いたかった。