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「DX(デジタル・トランスフォーメーション)はあらゆる企業の経営戦略の中核になっていて、もうDXリテラシーによる人材の“線引き”が始まっています。新入社員も例外ではありません」
こう話すのは『デジタル技術で、新たな価値を生み出す DX人材の教科書』(朝日新聞出版)の著者、鶴岡友也さん。24歳ながら株式会社STANDARDのCTOとして480社以上の企業にDX人材教育サービスを提供中。高密度のビジネス経験を踏まえ、後輩たちに勝ち残れるDX人材を目指すうえでの「心構え」をアドバイスします。
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■DXリテラシーはなぜ必要なのか?
いまの新入社員は「ザ・デジタルネイティブ世代」です。一方、いまどこの会社でもDXプロジェクトを担う人材がエンジニアサイドはもちろん、ビジネスサイドも非常に不足しています。なので、なかなかDXが進んでいない。
DXが喫緊の主要な経営課題である以上、その人材は急いで自社で育てるか、外からプロを採用するかしかなく、戦略的な企業であればあるほど前者、自らDX人材を育てる方向に大きく舵を切っています。
それはなぜか。DXは従来の自社のビジネスモデルを劇的に変え、飛躍的な成長をもたらす可能性を秘めているからです。その意味では、DXプロジェクトに携わることはビジネスパーソンにとって、極めて有力な「出世コース」になっていると言っていいでしょう。
さて、すべての社員がその出世コースに乗れるでしょうか。当然ながら答えはノー。「適性」によって人材は厳選されます。つまり彼・彼女らのうち、DXに適している人だけに「チャレンジ権」が優先的に配分される。要は、同じ社員の中でも機会提供における格差が確実に存在するわけです。
さらに、特にAIの進化にともなって「10年後、生き残る職業」と盛んに言われるようになりました。そういう現状を踏まえて、これからのビジネスパーソンのキャリア、個々の市場価値を高めていくことを考えた場合、「デジタル技術を活用していかに顧客への提供価値を向上させるか」というスキル、つまりDXリテラシーがある人と、それがない人との格差はどんどん広がっていきます。