眞子さまと小室圭さんの婚約内定は2017年9月に発表された。小室さんは18年8月から米・フォーダム大学のロースクールに留学中だ(c)朝日新聞社 
眞子さまと小室圭さんの婚約内定は2017年9月に発表された。小室さんは18年8月から米・フォーダム大学のロースクールに留学中だ(c)朝日新聞社 

 秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんが4月8日に公開した28枚、4万字にも及ぶ文書が波紋を呼んでいる。文書から透けて見えるのは、昭和的な野望と高いプライド、そして強い自己主張だ。AERA 2021年4月26日号から。

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 小室圭さんが4月8日に公表した文書で驚いたのは、彼が2017年7月から18年6月まで、マンション(管理組合)理事長をしていた、という事実だった。

 書かれていたのは脚注[18]で、それは「文書本体」中の「5 金銭トラブルと言われている事柄に対する私と母の認識について」という部分の文章に対応するもの。という説明からも文書の読みにくさがおわかりいただけると思うが、それはさておき。

「5」は母・佳代さんと元婚約者(以後Aさんとする)の出会いから別れ、その後が書かれていて、小室さん母子の置かれた決して楽ではない境遇が浮かび上がってくる。例えば、佳代さんがAさんからの支援を定期的に受けるようになったのは、婚約の翌年11年4月からで、その理由はこう説明されている。

<東日本大震災の影響を受けて、当時は時給制のパート従業員として働いていた母の出勤日が少なくなり、収入も激減することになりました>。それを知ったAさんが「家族になるのですから当然です、頼られて嬉しいです」などと言って、支援してくれるようになった、と続く。

 震災後にシフトを減らされた佳代さん。新型コロナウイルス禍の今の状況が重なり、「大変だったんだなー」と思う。お金を必死に算段しながら、圭さんの教育だけは守ろうとしている様子が、なんとも切ない。

 などと感じるのは、同世代ゆえだ。週刊誌などによると、佳代さんは現在50代半ば。私の方が少し年上だが、同じ時代を生きてきた。専業主婦になった佳代さん。当時それは珍しいことではなく、夫亡き後のパート勤務の日々を思うと、心が揺れる。

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 だから小室さんの「理事長」を知ると、「息子に頼る母」を見てしまう。マンションの部屋は息子名義なのだろうか、佳代さんが理事長になる選択肢はなかったのか。表に出るのは夫、夫亡き後は息子。そう考えてきたのかも、と思ったりした。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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