北海道旭川市の公園で中学2年の女子生徒(当時14歳)が凍死しているのが見つかり、市と市教委は、いじめの有無などを調査することを決めたと報じられました。なぜこんな事件が起きてしまったのか、周囲にはどんな対応が求められるべきだったのか。まだ明らかになっていない事実もありますが、現段階での報道をベースに、不登校新聞編集長の石井志昂さんが私見をまとめました。
■3か月でエスカレートしたいじめ
報道によれば、女子生徒へのいじめが始まったのは2019年4月。中学校に入学後すぐでした。女子生徒は、男子生徒から脅迫されて自身の裸の画像を撮らされる。画像を同級生らのLINEグループに拡散される。同級生から詰め寄られて川に飛び込むなど、壮絶ないじめを受けていました。
そのほか事件については文春オンライン「旭川14歳少女イジメ凍死事件」にくわしく書かれています。文春オンラインの報道によれば、2019年6月、川に飛び込んだ事件を機に警察が介入。しかし、バックアップデータなどを使用され、写真の拡散が続くなど、その後も、女子生徒はいじめに苦しみました。そしてこれらのいじめにより、PTSDを患っていた女子生徒は2021年2月13日に家族の外出中に自宅から失踪。1カ月後の3月23日に遺体で見つかりました。事件性はないとみられています。
■なぜ凍死だったのか
なぜ女子生徒が凍死に至ったのか。私見を言えば、これは形を変えた自殺だと思っています。壮絶ないじめに傷つけられ、心のよりどころがなくなって家出をしたのだろう、と。心のよりどころがなくなることを「心のホームレス状態」とも言い、家出や自殺未遂などがくりかえされる危険な状態に追い詰められます。
女子生徒と同じ北海道出身の作家・雨宮処凛さんも、心のホームレスでした。雨宮さんは小学校からいじめが続き、中学校の部活では、しごきの名を借りたいじめを受けたそうです。いじめに苦しんできた当時の気持ちを、雨宮さんはこう語っていました。