■皇族は曖昧な存在

 会議に示された検討課題は10項目あるが、上の表に示した通り「女性、女系天皇」「女性宮家」など女性皇族の位置付けが主たるテーマになる。そこで気になるのが「女性皇族」の扱いで、「女性活躍社会」のようにならないか、と危惧している。

 女性活躍と言いながら女性は人手不足対策の駒で、実は女性不在。それと同じように、皇室の人手不足対策としての「女性皇族活躍社会」になるのではと思うのは、一つには昨年11月に急浮上した「皇女制度」がある。結婚した女性皇族に「皇女」という呼称を与え、公務員のような立場で公務を続けてもらうというが、「結婚退職→パート労働の義務化」ではないかと思う。

 こんなものを検討してしまう政府だから、有識者会議にはぜひ女性皇族のことをきちんと考えてほしい。本当の意味での「女性皇族活躍社会」の道を見つけるべく話を聞いたのが、最初に紹介した河西さん。「女性皇族に限らず、皇族はそもそも曖昧(あいまい)な存在です。何をするのかは皇室典範にも書かれていません」という話から入った。

 確かに皇室典範第2章「皇族」が定めているのは、誰を皇族とし、どう呼ぶか、どういう時に身分を離れるかだけ。「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」は12条の規定だ。

「女性皇族は、20歳で成人し、二十数歳で結婚する。それまで、つなぎで公務をしてくれればいい。そんな存在でした。でも今の時代、それでは当事者は人生への期待感を持てないですよね」と河西さん。例えば眞子さまは二つの「総裁」職に就いているが、佳子さまは就いていない。「女性皇族に敷かれたレールに反発があるから、就かないのだと思います」

■小室問題は悩みの表れ

 淡々と公務をこなしているように見える眞子さまだが、自分という存在に悩まなかったはずがない。そこに現れたのが小室さんだとすれば、「小室さん問題」は女性皇族の悩みの表れ。「彼女たちの悩みを受け取め、どう解消していったらよいか」国民も考える必要がある。冒頭近くの言葉は、この文脈で語られたものだ。

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