脳腫瘍とは頭蓋骨の内側にできる腫瘍全般の総称で、部位によってさまざまな種類の腫瘍が発生する。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングして掲載している。今回、2019年の脳腫瘍の手術数が341件で全国1位になった森山記念病院(東京都江戸川区)。多くの患者や医療機関から選ばれる背景や診療体制について、同院の間脳下垂体センター長、山田正三医師に話を聞いた。
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2019年の脳腫瘍(しゅよう)手術数全国ランキングの上位3位は以下の通り(週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』)。
1位 森山記念病院 手術数341件
2位 東京女子医科大学病院 手術数309件
3位 虎の門病院 手術数303件
森山記念病院は、2017年は関東圏ランキング15位(手術数99件)、2018年は全国2位(手術数296件)で、今回初めて全国1位になった。
脳腫瘍は、腫瘍ができる場所や悪性度などによって、さまざまな種類がある。症状として、腫瘍ができた周囲の脳機能が圧迫されることで、麻痺やけいれん、視野や言語障害などが表れる。
主な脳腫瘍として、下垂体(かすいたい)腫瘍や神経鞘腫(しょうしゅ)、髄膜腫などの良性の腫瘍と、神経膠腫(こうしゅ、グリオーマ)などの悪性の腫瘍がある。腫瘍の種類で治療方法も大きく変わるため、病院によって腫瘍ごとの手術数も異なっている。
森山記念病院のランキングに貢献しているのは、下垂体腺腫(下垂体腫瘍)の手術数である。18年4月に同院に赴任した山田医師が、その手術を担当することが大きな要因となった。山田医師は次のように話す。
「私が赴任して下垂体腫瘍の手術数が増えて、ランキングに貢献したのは確かです。しかし、当院は、もともと、脳神経外科に力を入れてきた病院で、全国屈指の先生方がご活躍されてきたという素地があります。その上で、さらに治療設備やスタッフを強化できたことが大きいです」